江戸前勉強会の記録
コンテンツ
- 江戸前勉強会2023
- 江戸前勉強会2022
- お知らせ
- 第1回の記録(次期行動計画)
- 第2回の記録(モニタリング)
- 第3回の記録(生き物の生息場つくり)
- 第4回の記録(東京湾へのアクセス)
- 第5回の記録(東京湾の環境評価)
- 第6回の記録(2022のまとめ:これからしたいこと)
- 江戸前勉強会2022 特別版(窓PT活動・施設紹介)
- 江戸前勉強会2021
江戸前勉強会2023 特別回 開催案内
開催趣旨
本年度、東京湾再生のための行動計画(第三期)が発表されました。今後、東京湾再生の活動を市民参加型で実施していくために、再生ビジョンの共有、評価指標の設定、モニタリングの実施などが欠かせません。今後、数年かけて、東京湾のレポート・カード(成績表)構築を目指すための取組みを始めたいと考えています。今回は、そのためのキックオフとして、自由に意見交換し、討論する場を設けたいと思います。ぜひご参加ください。
当日資料
本勉強会は、グリーンインフラ・ネットワーク・ジャパン(GIJ2024)のミーティングとして実施いたしますので、GIJ2024への参加登録(有料:1,000円)が必要です。
※ 参加チケットを入手いただきますと、GIJ2024のオープニングを含むすべてのミーティングに参加いただけます。
江戸前勉強会2022 開催案内
本年度は、行動計画(第2期)の最終年です。準備されている次期計画の骨子や、第2期におけるフォーラムPT活動などを題材に、第3期に向けた期待や、具体の行動において、みんなが協働し東京湾再生を盛り上げていくためにはどうしたら良いのかといったことについて、自由な意見交換をすることを目的として江戸前勉強会2022を開催することといたしました。
江戸前勉強会2022(第1回)
2022年11月11日に、江戸前勉強会2022の第1回が開催されました。第1部では、昨年開催した江戸前勉強会のふりかえりと本年度の勉強会のねらいが紹介され、第2部では、東京湾再生のための行動計画(第三期)の骨子について説明をいただきました。第3部ではそうした情報に基づいて、意見交換を行いました。
第1部は「はじめに」として、「勉強会2021のふりかえりと江戸前勉強会2022のねらい」をモニタリングPT長の古川恵太より説明しました。
第2部では、話題提供として、東京湾再生推進会議モニタリング分科会のご担当である福本峻吾さんに「東京湾再生のための行動計画(第3期)の骨子について」説明いただきました。
新たな目標として「多様な主体が協力し合うこと」が記され、それに対応する主な施策として「官民連携」が追加されたことがポイントです。
福本さんの話題提供への質問の後、第3部の「意見交換」として、参加者から「どんな東京湾にしたいか」、「骨子で示された施策の優先度」、「自由意見」を投稿いただき、共有しながら話を進めました。
江戸前勉強会2022(第2回)
2022年11月25日に、江戸前勉強会2022の第2回が開催されました。 第1部は前回の振り返り、第2部は東京湾のモニタリング体制に関する話題提供、第3部はプランクトンの種組成の変化から見た東京湾の環境についての話題提供でした。
第1部では、前回の勉強会の振り返りを行い、改めて意見交換で示された見解が共有されました。施策の優先度としては、干潟などの保全・再生、環境教育・情報発信の機会そうsh通、一斉調査の継続などが高得点を獲得していました。
自由意見としては、連携の仕組みや方向性(若者の参加促進)への意見、環境対策についての意見、さらには評価のあり方についての意見などがあったことが紹介されました。
第2部では「東京湾の環境のモニタリングの体制について」モニタリングPT長・古川恵太より紹介がありました。モニタリングの種類として、研究、環境、水産、港湾、再生、市民のカテゴリーに分け、対象~アクションにつながる多様なモニタリングの事例を紹介しました。
第3部では、東京海洋大の片野俊也さんから「東京湾奥部定点における植物プランクトンの長期変動:2003年から2017年の観測結果から」が解説されました。それに引き続いて質疑応答がなされ、植物プランクトンの変動と環境の変化の因果関係や、特定のプランクトン採取・分析の難しさ、海域の窒素・リンの変化と負荷量との関係、同時に観測される水質項目、色による赤潮の判別などについての意見交換がなされました。
<この動画については、未発表データを含んでおり、一般公開不可な情報が含まれておりますので、マスクさせていただいている図表があります。ご理解ください。>
江戸前勉強会2022(第3回)
2022年12月9日に、江戸前勉強会2022の第3回が開催されました。 第1部は前回の振り返り(モニタリングについて)、第2部は生き物PTによるマコガレイ産卵場造成に関する話題提供、第3部は水産・漁業からみた生物の生息場としての東京湾に関する話題提供、第4部は「おせっ会」による生息生物種調査の結果と生物調査のあり方についての話題提供でした。
第3回の第1部では、「はじめに」として「第3回の振り返りと今回の参加者」が紹介されました。前回のメンチメータによるアンケートには、生息生物や漁獲に関するモニタリングの重要性や、モニタリングを活用するアイデアなどがよせられていました。
第3回の第2部では、「話題提供①」として東京大学の佐々木先生から「東京湾における生き物生息場の再生のための取り組みと今後の方向性-マコガレイ産卵場の底質改善」が紹介されました。多くの関係者が関与して実現したマコガレイ産卵場の造成事例について、経緯や基本的考え方とともに、今後の進め方への提案が示されました。
第3回の第3部では、「話題提供②」として水産研究・教育機構の児玉さんから「漁業生産と環境の変化について」が紹介されました。東京湾における漁業の変遷と現状、貧酸素水塊の影響に関する水産学会での興味深い議論などが示されました。
第3回の第4部では、「話題提供③」として東京湾生物情報とりまとめおせっ会の風呂田先生から「東京湾確認生物2022年の実施と今後の生物調査について」が紹介されました。13団体から18地点の特定の生物に絞らない生物調査結果を収集し、600種以上の記録を集めたことや、今後の生物情報収集の課題・解決方法が示され、イベント化した調査の実施が提案されました。
江戸前勉強会2022(第4回)
2022年12月23日に第4回の江戸前勉強会2022が開催されました。今回は「東京湾へのアクセス」をテーマに開催されました。
第1部「はじめに」では、「第3回の振り返りと今回の参加者」が紹介されました。前回の討論では、東京湾に居てほしい生き物として、シャコやカレイ、アナゴ、アサリといった江戸前の代表選手とともに、多様な底生生物(ベントス:カニや貝)や海草・海藻などの名前が上がりました。そうした生き物の生息場つくりのアイデアとして、 ・対象:浅場、干潟、ビーチ、アマモ場、マウンド造成 ・場所:運河や(テトラのある)海岸線、老朽化した護岸の活用や元航路の埋戻し ・工夫:漁業者による維持管理、企業の参画、浚渫土砂の利用 などが挙げられ、まずはデータ収集、他の湾の事例との比較検討を進めてはどうかという意見ががよせられていました。
第2部では、話題提供として、東京湾再生官民連携フォーラムの東京湾の窓PT長、芝原達也さんから「東洋湾へのアクセス」に関して話題提供いただきました。 東京湾窓PTの紹介とともに、窓施設や活動の根底にある「保全・再生」「ワイズユース」「対話・教育・能力養成・参加・普及啓発(CEPA)」などの考え方が解説されました。 2021年に発表された東京湾窓PTによる政策提案を紹介いただき、東京湾再生のための行動計画(第3期)に向けた課題と提案にも言及いただたきました。
第3部では、芝原さんの話題提供を受けて、東京海洋大学の川辺みどりさんが「多様な関係者の対話を進める」ことに関してコメントをいただきました。 それに引き続いて、4つのグループに分かれて「これからの連携」の具体的な活動・行動について議論しました。
江戸前勉強会2022(第5回)
2023年1月9日に第5回の江戸前勉強会2022が開催されました。今回は「東京湾の環境評価」をテーマに開催されました。
第1部「はじめに」では、「第4回の振り返りと今回の参加者」が紹介されました。前回のグループ討論では、第3期行動計画に向けた「これからの連携」の具体的なアクションのアイデアを出しました。4つの版に分かれ、だれが、どこで、どのようなアクションができるかをオンライン・ホワイトボード(Jamboard)を用いて整理しました。楽しく、多くの人が参加できるように、モニタリング調査、観察会、ごみ拾い、ハゼ釣り、潮干狩り(WiseUse)、展示、懇談会、88ヶ所巡りなどの意見ががよせられていました。 その実効にあたっては、自治体などの意識改革や、参加を検討している人々を後押しする工夫が必要であるという意見も出されました。
第2部の話題提供として、指標活用PT長の岡田知也さんが「東京湾の長期的な(ここ10年の)環境変化について」として、東京湾再生のための行動計画( 第2期 )の期末評価の結果の一部(COD、透明度など)や2022年の東京湾シンポジウムで共有された成果を紹介いただきました。
第2部の話題提供の2題目として、東大大気海洋研究所の野村英明さんに、東京湾の環境を支配する条件として、流れや地形の変化について注目した整理を示していただくとともに、希少生物の保全が東京湾全体の保全・再生に役立つという見解を示していただきました。
こうした話題提供の後、参加者からの質問や環境評価についての意見が出されました。時間の関係から、オンラインツールへの入力で意見を出していただき、多様な意見をいただくことができました。
江戸前勉強会2022(第6回)
2023年1月20日に第6回の江戸前勉強会2022が開催されました。今回は対面での参加も含め、「第1回~第5回勉強会の振り返りと出されたアイデアの整理」をテーマに、「これからしたいこと」を自由討論する会として開催されました。
第1部:はじめに、江戸前勉強会2022の第1回から第5回の振り返り
第2部:意見交換
第3部:まとめ これからの10年に向けてしたいこと
江戸前勉強会2022特別編
東京湾岸には野鳥観察や干潟学習、水族館、漁業を含む歴史文化を紹介する博物館や観察施設等の東京湾関連施設(東京湾の窓施設)があり、湾の環境と魅力を紹介する貴重な役割を担っています。こうした施設・活動により「アクセスを向上する」ための意見交換会を2022年3月25日に実施いたしました。
窓施設の中の人(施設の運営に関わっている、いわゆる事情通の方々)とともに、楽しいアクセスについて考えた結果をご覧ください
江戸前勉強会2022特別編のまとめ
2022年3月25日に、東京湾の窓施設についての1時間半のワークショップを開催いたしました。初めに本勉強会の主宰者のひとりである古川より、江戸前勉強会2021のふりかえりと、その中で指摘された保全と開発のバランスの重要性、そのためのアクションとしての、3つのテーマ(目指すべき東京湾の姿を描く、生物データの一元化・体系化、新しい課題に対する対話の場)と5つのアクション(ヘドロのない海、遊べる浜とアクセスの確保、ウナギの調査やシンポ、海のイドバタ会議、コミュニケーションできる場)が紹介されました。
続いて、第2部として、東京湾の窓PTの施設・活動が東京湾のバーチャルツアー形式で 紹介されました。紹介された施設は以下の通りです。
- 窓PTについて
- 市民が東京湾に触れる入り口となる窓、年間総利用者数は100万人に達する。イベント参加、自然体験、守る活動を推進。東京湾の窓スタンプラリーを2019年まで実施、その後は、ぐるっと東京湾!のFacebookで発信。
- 谷津干潟自然観察センター
- 都会に残された自然、窓PT結成のきっかけになった施設、充実したスタッフ
- 水元かわせみの里
- 重要湿地「水元小合溜」の豊かな自然、流域からの発信を重視
- ふなばし三番瀬環境学習館
- ふなばし海浜公園に併設された、新しい施設、体系的な学び、現地との回遊を重視
- 浦安水辺の会
- 郷土博物館、観察館、水槽を活用した学び、体験、市民とのコミュニケーション、海に出るための課題があるが、昆虫などの取組みで工夫
- 行徳鳥獣保護区
- 宮内庁新浜鴨場に隣接、街中の排水を利用した湿地造成・管理、野帳病院・野鳥観察舎を併設
- 豊海おさかなミュージアム
- 豊海ふ頭に立地している水産振興に特化した博物館、特別展示、食育や江戸前ハゼ復活プロジェクトを推進
- 東京港野鳥公園
- 大田区市場の建設予定地に市民要望により造成、レンジャーが環境教育、保全管理、生物調査を実施
- 大森 海苔のふるさと館
- 海苔養殖の歴史を伝える施設、海苔船や昔の漁具などを展示、人工海浜での体験学習会、海苔づくりなどを実施
各施設の紹介後、東京湾の窓関連施設の認知度、行ったことがあるかどうか、底に行こうと思ったキッカケなどをオンラインでアンケートし、関係者間では、施設に対する認知度も高く、学びや生き物とのふれあいを求めて訪れている様子がわかりました。
最後のセッションは、窓PTが実施した3回の研修会(ワークショップ)の報告と、それを元にした意見交換が行われました。ワークショップの趣旨は「 COVID-19のまん延に対応した環境教育プログラムの実施の状況を共有し、オンラインの活用なども含め、優れた取り組みを相互に学びあい、各施設での実践を目指す」といったものでした。 3回のワークショプは、水元カワセミの里、ふなばし三番瀬環境学習館、行徳鳥獣保護区で行われ、以下のような形態、種子、成果、反省・気づきがありました。
意見交換では、東京湾で興味のあることや、窓施設に期待することについて自由に意見を出していただき、生物やアクティビティとともに、歴史や風景などにも注目が集まるとともに、スタンプラリーの実施への期待なども述べられました。
江戸前勉強会2021
より包括的な東京湾再生にかかわる人々の連携の強化や、事業実施の支援を目指して、2021年10月7日より、隔週の木曜日(12月のみ曜日が変則的になっています)、17:30-19:00に参加型の勉強会を開催いたしました。ご参加、ありがとうございました。
本ページにて、開催記録を公開いたします。ぜひ、ご覧ください。定員 Zoomでのご参加 先着100名
Youtubeでのご視聴(定員なし)
対象 東京湾の再生に興味のある方
行政関係者、研究者、市民、学生、
漁業関係者、企業など、どたたでも
問い合わせ先 海辺つくり研究会・古川恵太
Email: keita@meic.jp TEL:045-321-8601
各回のテーマについて
第1回 江戸前勉強会のまとめ
2021年10月7日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第1回目を開催しました。 今回の勉強会では主に、「東京湾再生のための行動計画(第2期)の進捗とネットワークづくり」について中村さんと古川さんにお話しして頂いたあと、現在の東京湾をどう思うか、また今後の東京湾に何を期待するのかなどについて参加者のみなさんとワークショップを行いました。 以下にフルバージョンのビデオ録画を添付します。
第1回勉強会(フルバージョン 90分)
まずは中村梓さん(東京湾再生推進会議モニタリング分科会担当者)から、「東京湾再生のための行動計画」についてお話をしていただきました。「東京湾再生のための行動計画」(以下、行動計画とする)は、関係省庁及び地方公共団体により設置された「東京湾再生推進会議」が2003年から10年おきに策定しています。これは水質汚濁が慢性化している東京湾の環境再生を図るための計画です。第2期の計画期間が2013〜2022年の10年間で、現在はこの第2期の振り返りが行われています。今回、行動計画の第1期と第2期の違いとして挙げられたのは、第1期が行政主導だったのに対し、第2期では東京湾再生官民連携フォーラムができたなど、多様な関係者で取り組むためのネットワークが構築されたことです。またこのお話を聞いた上で、「行政の上の立場の方々に行動計画が浸透していないのでは?」という質問がありました。これに対しては、「問題意識はあると思うが、日本には他にも多くの問題があり、行政の一人一人に問題意識はあってもなかなか取り組むことが難しいのが現状」というご説明がありました。
つづいて、古川恵太さん(東京湾再生官民連携フォーラム・モニタリングPT長)から「東京湾再生のためのネットワークづくり」についてお話しをしていただきました。東京湾ではここ100年ほどで、人口が3倍増加、汚濁負荷量の増加、干潟が7%に減少し自浄能力が低下するなど、多くの変化が起きています。そこで、湾を再生するためには「流域における物質循環のバランスのとれた社会システムを構築するなど根本的な対策が必要」です。ここでは、市民と研究者が協力して行ってきた調査や、様々な団体の取り組みが紹介されました。これらの官民連携での取り組みなどについては、第4回の江戸前勉強会でも紹介される予定です。
勉強会では、オンラインでコメントを集計するツールを用いて、参加者のみなさんと双方向のコミュニケーションを行い、ワークショップを行いました。今回は、まず勉強会のはじめに「今の東京湾を一言でいうと?」という質問をみなさんに行ったのですが、「意外と豊かな東京湾」「以前よりは綺麗になった」という肯定的な意見があったのに対し、「人と離れた東京湾」「実態が掴みづらい」「美味しい海産物への魅力が少ない海」など、東京湾に対してあまり良いイメージを持たない、あるいは一言では表しきれないというようなコメントも多く見られました。そして中村さんや古川さんのお話を聞いた後、最後に「東京湾の現状認識と期待」についてみなさんからコメントをいただきました。その中でも多かったのは「もっと自由に海に入れて、子供を連れて行きやすい東京湾になって欲しい」という意見でした。その他、「食べ物を調達できる」「漁業が盛んになって地域で魚を買って食べられる」のように、魚を食べることに関する意見や、「東京湾の管理」に関する意見も多くありました。また、ここまでの話から、「第2期行動計画の話を聞いて、もっと保全のために横断的に動ける組織が必要ではないか。自然は繋がっているのに人は繋がっていない。」というようなご意見もありました。
ツールを使ったコメントだけでなく、参加者のみなさんにも活発にご意見をお話ししていただき、それぞれの思う東京湾を知れる良い機会になったのではないかと思います。 ぜひ、第2回以降の勉強会へのご参加もよろしくお願いいたします。
報告者:尾形
第2回 江戸前勉強会のまとめ
2021年10月21日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第2回を開催しました。 まず初めに前回の振り返りをした後、前回のワークショップから出た意見をもとに、「東京湾再生の目標として優先度の高いものは?」という簡単な質問をみなさんにしました。その後、片野俊也さん(東京海洋大学)に「東京湾のプランクトンから始まる海の生産」について話題提供をしていただき、参加者のみなさんでワークショップを行いました。 以下にフルバージョンのビデオ録画を添付します。
第2回勉強会(フルバージョン 90分)
話題提供に先立ち、前回のふりかえりと参加者の方々に、簡単なアンケートを実施しました。第1回であった前回には、東京湾について、現状認識と期待することを共有いただき、5つの視点が提示されました。
- 水辺へのアクセス
- 水遊びができ、親しめる、自由で安全な海
- 保全と開発のバランス
- 産業(漁業、鉱工業、観光業、)
- 環境(生物多様性、CO2)
- 横断的組織・計画、防災と環境
- 問題解決
- 夜景の罪悪感、下水道臭、不法投棄、密漁
- 連携
- 川と海、地域の住民、学校との連携
- 漁業・食文化
- 食料調達、地産地消、環境学習
東京湾は世界でも植物プランクトンの生産が高い(基礎生産速度が高い)海です。片野さんから、東京湾の植物プランクトン相の変化と、どの栄養塩が東京湾の植物プランクトンを制限するかについてお話しいただきました。ここでは、珪藻の種が変わってきたことや、Prorocentrum属の渦鞭毛藻が増えてきたことを説明しています。また、東京湾では今までリンが不足していると考えられてきましたが、窒素が足りないこともあるということがわかってきました。話題提供後も多くの質問があり、東京湾の最新のプランクトン事情を知れる機会となりました。
話題提供(前半)
話題提供(後半)
最後に、参加者のみなさんとワークショップを行いました。「望ましい東京湾にするためのアイディアを出そう」ということで、今回は「保全と開発のバランスの実現ができなかったらどうなるか?」について、今回もコメントを集計するツールを用いてみなさんにご意見を伺いました。みなさんからは、「多様性の減少」「自然の崩壊」「開発ばかりが進めば人と東京湾の距離がさらに遠くなる」といった、保全を重視する意見が多かったなか、「保全を優先しすぎれば経済低迷。開発をしすぎれば自然の回復が不可能」というように、保全も開発どちらも重要ではないかという意見も多数みられました。
報告者:尾形
第3回 江戸前勉強会のまとめ
2021年11月4日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第3回を開催しました。 はじめに前回の振り返りをした後、「保全と開発のバランスを実現するために優先度の高いものは?」という簡単な質問をみなさんにしました。その後、児玉真史さん(水産研究・教育機構)に「漁業を通してみる生産の場としての東京湾」について話題提供をしていただき、最後に参加者のみなさんでワークショップを行いました。
話題提供として、児玉さんから、東京湾の魚種別漁獲量や、漁業者の減少、東京湾の漁業における環境問題など、東京湾における漁業の変遷について主にお話ししていただきました。その後は、「水産物や他の生物が時系列にそって減少していくことについて、貧栄養化が話題にもなっているが、どういったことが主な原因?」「江戸前とはよく聞くが、じゃあ江戸時代の海はどんな海だった?」などのような質問もありました。
最後に、参加者のみなさんとワークショップを行いました。「関係者の参加の機会創出に尽力すべき人は?」さらに、「東京湾に関わるプロの組織と人を作っていくために必要なことは?」について、今回もコメントを集計するツールを用いてみなさんにご意見を伺いました。前の質問に関しては、「行政」「企業」「市民」や、その他には「埋立地に住んでいる市民」や「小・中学生」などの意見がありました。後の質問に関しては、「公的な省庁横断型の研究所のようなもの」「マリンアクティビティを充実させる」など、議論も活発に行いました。
第4回 江戸前勉強会のまとめ
2021年11月18日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第4回を開催しました。 はじめに第3回までの振り返りをしたあと、古川恵太さん(海辺つくり研究会)に「東京湾の再生に向けて行政の取り組み、市民の活動」について話題提供をしていただきました。その後、参加者のみなさんで「東京湾について知っておくべきこと!」をテーマにワークショップを行いました。
振り返りでは、第3回までのワークショップの成果を振り返りました。東京湾に対する5つの現状認識と期待(水辺へのアクセス、保全と開発のバランス、問題解決、連携、漁業・食文化)や、その再生の目的と手段を確認し、第3回に議論された関係者のマッピングが示されました。
話題提供として、古川さんからは、東京湾の再生向けてどのような関係者がいるのか、行政として開発側、環境側からの取り組み、市民の取り組みとして「東京湾再生官民連携フォーラム」で行われるアマモ再生事業やお台場海苔づくりの活動が紹介されました。2000年代に本格的にはじまった東京湾の再生も、現在はさまざまな主体が参加できるような基盤が出来上がってきています。
最後のワークショップでは、ブレイクアウトルームに分かれて、参加者のみなさんが直接書き込めるツール(Jamボード)を用いてワークショップを行いました。4つのグループに別れ、それぞれ東京湾の「活動」「環境」「生き物」「地形・歴史」について話し合いをしました。
報告者:尾形
第5回 江戸前勉強会のまとめ
2021年12月9日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第5回を開催しました。 はじめに前回までの振返りをしたあと、風呂田利夫さん(東邦大学東京湾生態系研究センター)から「生き物から見る東京湾のネットワーク」について話題提供をしていただきました。その後は、みなさんで「東京湾の再生のためのつながり!」をテーマにワークショップを行いました。
ふりかえりとして、今回は、第4回までの振り返りに少し時間をかけて紹介しました。東京湾の現状の認識と期待、取り組むべき5つのポイント、再生のビジョンとなる目的と手段、そして東京湾リテラシーの要素とその連関を示す「東京湾マンダラ」が示されました。
話題提供として、風呂田さんから、生態系ネットワーク、ヤドカリ・カニ類の調査、生物調査への市民参加についてお話しいただきました。埋立て等によりその90%が消失した干潟をすみかとする生き物が減り続けてきたこと、また、真水から海水につながるところの生き物について知ったあと、100人とやる生き物調査や、さまざまな人に協力してもらうアサリ調査、現場で毎日生き物を見る人達に情報を提供してもらう調査などについて知ることができました。
最後のワークショップでは、みんながネット上でコメントを書き込めるツールを用いてワークショップを行いました。7つのグループにわかれ、それぞれ東京湾についての自由なテーマを決め、「何を」「誰が」「困難」「知恵・方法」についてみなさんで話し合いました。各グループで話した内容は様々で、いろいろなアイディアが出ました。
第6回 江戸前勉強会のまとめ
2021年12月16日(木)に約1時間半、江戸前勉強会の第6回を開催しました。 はじめに前回までの振返りをしたあと、川辺みどりさん(東京海洋大学)から「市民参加を考える」について話題提供をしていただきました。その後は、みなさんで「東京湾の再生のためのつながり!」をテーマにワークショップを行いました。
第5回までの振り返りを行い、前回提示されたアクションプラの概要が紹介されました。
その後、川辺さんから 市民参加の意味と意義、進め方についてのお話があり、本勉強会で言及される市民参加とは、沿岸域の管理に対する参加であり、行政と市民が議論し、協働するといった段階の取組として考えられると説明されました。
それに引き続いて、ブレイクアウトルームに分かれ、アクションプランの検討が進められ、その結果がメインセッションで共有されました。
各ルームでの発表を受けて、意見交換が行われ、以下の8つの提案がなされました。1-7は、ブレイクアウトルームでの議論の成果についての意見交換から、8については、その後の議論から出てきた提案です。
- 目指すべき東京湾の姿を描こう。目指すべきは水質のきれいさと、生物の豊かさであろうが、社会全体としての海の幸との向き合いかたも含めて考えるべき。「江戸前の海」を目指すべきキーワードとして、それに対応する水質や指標を考えていくべき。
- 例えば、きれいな海、豊な生態系を取り戻すために、東京湾全体でヘドロのない海を目指そう。それで実現できるビジョンを明確にし、分流式下水道の導入など、利用可能な技術を活用し、行政が中心になり現状把握から始めよう。ヘドロはカーボンの貯留庫でもあり、リン資源でもある。
- 例えば、遊べるような浜をつくり、海辺へのアクセスを確保しよう。そのためには、アクセスしたい人(させたい人)とそれを阻害する人(協力してほしい人)を巻き込んで、海辺でできる遊びを再確認し、エコリゾート(テーマパーク)として地域の人が協力し、みんなの原体験をつくれるような場としよう。
- 東京湾の生物データの一元化・体系的な取得をしよう。生物データについては、データの重要性への認識が低いということや、地域的な偏りも大きいことが問題であり、その啓発(ロビー活動も含め)が重要である。
- 例えば、釣りなどを活用して「うなぎ」の調査やシンポジウムを開催しよう。様々な方々の参加を進めるために、専門家が指導しながら一般の人、子供たちが参加できるような取り組みとして、行政とも連携しながら進めと良い。写真を使ったデータベースなども面白そう。
- 新しい課題に対する対話の場をつくろう。共通であった東京湾の環境の目指すべき方向が多様化してきており、最適解が異なる人々が居られる。漁業者の方々も含め、多くの人々が参加できるような、新しい仕組み・技術を活用した場をつくることが大切。
- 例えば、海の仕事の魅力を伝え、様々な業種をゆるくつなぐ「海のイドバタ会議」を実施しよう。イドバタ会議本番は4月以降に控えている、江戸前勉強会のスピンオフとして、1-3月から開催できるよう要望する。
- 例えば、その第一歩として、継続してコミュニケーションできるような場を作っていこう。自然の声を聞きながら、リアルにもつながれるグループをつくって、継続して話していこう。